妄想猫 #01

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僕は現在、ねこを飼っていない。その理由は、住んでいるのが集合住宅で、ペットを飼ってはいけないことになっているからである。

でも、内緒で犬を飼っている人がたくさんいる。

毛布でおおったケージに入れて、エレベーターで地下駐車場まで降りてから、管理人に見えない通路で外に連れ出しているのだ。

実に用心深いことではある。

この分だと、きっとねこを飼っている人もいるはずだ。

そんなことを考えると、僕もねこを飼おうかと思う。

それはもう、身もだえするほど、ねこと暮らしたい。

しかし僕は出張が多い。家人も毎日働いているから、もしねこを飼うと、日中はひとりぼっちにさせてしまう。

それは可哀想だと思う。

 

(まてよ、それならば…)

 

と妄想する。

 

(2匹飼えばいいのではないか。それなら2匹で遊んでいられるだろう)

 

人間のいない日中の部屋を思い浮かべてみる。

幼いねこが2匹、追いかけっこをしている。

ねこAがカーテンによじ登る遊びを思いつく。

ねこBもマネをする。

Aは最上部まで行って飛び降りる。それを追ってBも飛び降りる。

今度は寝室でのかくれんぼを思いつく。

Aがベッドのかげに隠れるが、Bが思いがけず後ろから飛びついてくる。

驚いたAは真上に飛び上がる。

その様子にBも驚いて飛び上がり、台所へと走り逃げる。ワケも分からずそれを追うA…。

上を下への大騒ぎである。興奮が極まってくれば、きっと

「うるるる」

などの威嚇声も出すことであろう。

ああ、だめだ。ぜったいにご近所さんにばれてしまう。

 

(まてよ、それならば…)

 

と妄想はすすむ。

 

(いっそのこと、両隣の住人に、ねこを飼っていることを告白すればいい)

(要は、管理人にさえ見つからなきゃいいんだよな、うん)

 

実際にねこがいたら、どんなに楽しいだろう。

僕はねこをからかうのが得意である。「毛布の下の獲物ゴッコ」とか(判る方だけ頷いてください)、「だるまさんが転んだ」とか(判る方だけ頷いてください)、毎日でも遊んで暮らしたい。

そう思いつつ、決断ができずにいる。

したがって、もうしばらくは妄想で遊ぶだけである。

 

Text by 黒川勇人(缶詰博士) 

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kurokawa黒川勇人

「缶詰博士」(公益社団法人日本缶詰協会公認)としてテレビ・ラジオ・雑誌・新聞など様々なメディア出演や執筆活動で活躍。現在までに世界46カ国を取材。数千缶の缶詰を味わっている。もちろん、ペット用の猫缶に関してもオーソリティ。大の猫好きだが、今は一緒に暮らす猫は居ず、猫との暮らしを妄想する日々。