妄想猫#10

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ネコの道案内

 

猫を飼えない自分にとって、ノラをからかうのは何よりも愉しい。

町中でも、旅先でも、ノラを見かけるとつい声を掛けてしまう。

旅先で出会うノラには、道案内をしてくれる奴がいる。こいつについていくのが面白い。思いがけない風景を見せてくれることがあるし、迷ったところから脱出させてくれることもある。

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こいつは千葉・外川の漁港近くにいた。

声を掛けると、するすると坂道を登っていき、こうしてブロック塀の上に落ち着いた。

その足元には茶虎が2匹、白が1匹、黒虎が1匹寛いでいた。

ノラの集会場に案内してくれたのだった。

2

 

こいつはポルトガルのポルトで、道に迷ったときに出てきた。

 

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ポルトにはこのドン・ルイス1世橋という有名な橋がありますね。

ここ目指して歩いてたら、帰り道が判らなくなったのだ。

そこに先のクロ君が颯爽と現れ、メインストリートへ案内してくれたのだった。

お礼にと、ポケットに入っていたクッキーをあげようと思ったが

(オレはそんなものに興味はない)

といった顔をして去っていった。

4

 

この茶虎は那覇の公設市場にいた。細い路地に入っていったが、たびたび振り返りながら、こちらがついてくるのを確かめている。

行き先は小さな公園であった。茶虎君はそこでいかにも心地よさそうに寛いだが、周囲にはおびただしい数の蚊が飛び交っていた。

おかげで何カ所も蚊に刺されてしまった。

が、ついていったのはこちらなのだからまあ、しょうがない。

 

Text by 黒川勇人(缶詰博士)

kurokawa

「缶詰博士」(公益社団法人日本缶詰協会公認)としてテレビ・ラジオ・雑誌・新聞など様々なメディア出演や執筆活動で活躍。現在までに世界46カ国を取材。数千缶の缶詰を味わっている。もちろん、ペット用の猫缶に関してもオーソリティ。大の猫好きだが、今は一緒に暮らす猫は居ず、猫との暮らしを妄想する日々。