妄想猫#9 

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△母がナンと呼ぶノラ君(本物のナンには全然似てません)

 

それはナンではありませんよ

 

実家では「ナン」と「トム」という2匹の猫を飼っていた。

もうずいぶん前に2匹とも天国に行ってしまった。それから両親は猫を飼っていないのだが…。

かわりに、庭に通ってくるノラを可愛がるようになった。

たまに実家に顔を出すと

「夕方になったらナンちゃんが来るからね」

などという。

「あと、遅くなったらトムが来るから。あれは気が弱いから、他の猫が食べ終わってからじゃないと顔を出さないから」

などという。

 

何ですと。

ナンとトムがやって来る、ですと。

幽霊ネコの出現か?!

 

…などということは勿論なかった。

やがてやって来た「ナン」は、昔飼ってたナンにぜーんぜん似てない。

そのあとやって来た「トム」も、どう見たってトムではない。

ものすごーく拡大解釈をすれば、毛の色がわずかに近いだけである。

それでも母親はそのノラ君を気に入っている。

「ナンちゃん、ご飯いっぱい食べなさいね」

んーと、それはナンじゃありませんよ。

まっ、でもいいか。

 

Text by 黒川勇人(缶詰博士)

kurokawa

「缶詰博士」(公益社団法人日本缶詰協会公認)としてテレビ・ラジオ・雑誌・新聞など様々なメディア出演や執筆活動で活躍。現在までに世界46カ国を取材。数千缶の缶詰を味わっている。もちろん、ペット用の猫缶に関してもオーソリティ。大の猫好きだが、今は一緒に暮らす猫は居ず、猫との暮らしを妄想する日々。